同年代の。

自分と違うものを持った。

自分と同じものを持った。




──仲間





rival







初めて会ったのは、まだ互いに七つだったころ。

沈みかけた太陽の強い橙色を反射させる川の色に強く惹かれ、その畔を、当てもないのに歩き続けていたときだった。

明るすぎる彼の髪には程遠い黒髪。

少しの光も反射しない黒い瞳。

作り笑いすら浮かべない顔。

存在は、知っていた。

運動神経が抜群で。

頭脳で競っても彼の右に出る者はいないとまで言われる、と。

相手のその秀でた才能は、有名すぎたから。

落ち零れの自分 天才の相手

外見も 内面も正反対の、互い。でも



「うちは…サスケ…」



──俺と……同じ……



一つだけ、共通点があった。


乾いた土に一定間隔で跡をつけていたその足は、自然と動かなくなった。ただ立ち尽くし、ナルトは唯一夕日に染まることなく座り続ける黒を見続けた。










本当につい最近、彼は家族を失った。それだけでなく、親戚も、それに準ずる者達、血縁者と呼べる者全てを。今は所謂天涯孤独、つまり毎日帰るのは、夜の闇に紛れた静か過ぎる家で。



──アイツも……1人……



冷たいドアノブを、どんな気持ちで捻ろうと、目の前に表れるのは心が麻痺しそうになるくらい冷たい廊下と、外気に乱されることなく澄む空気だけ。

失う悲しみは知らない。でも、いない悲しみならサスケよりも知っている。

周りに在る物は、全ては自分の物。でも

周りに在る者は、全て自分の者ではなくて。


それが、天と地ほど違う自分達に、与えられた唯一の共通点。



「…………」



嬉しい。そう思う気持ちが強かった。

自分の周りに、自分と同じ者はいなかったから。

共に同じ時に笑いあえ、いくら共通の好みがあっても、自分は、皆と違った。誰だって、己の周りにいる者には、帰る場所が必ずあったから。

相手に足を向けて一歩踏み出す。でも、それ以上足は進まなかった。

やっぱり、たった一つの共通点だけで相手との差を埋めることは出来なくて。

相手と、違いすぎて。

自分は、弱くて。



「……………」



小さく自嘲するように、ナルトは微かに閉ざしていたその唇を緩め笑った。

虚勢を張っていても、所詮は上辺だけ、自分は臆病者だ。

くる、と踵を返すと、ナルトは今歩んできた道をたどり始めた。



──強くなろう



今はまだ、話しかけることはできないけれど。

いつか普段連んでいる奴等とは違う友達になれるような、そんな気がした。

尤もそう思うのは、自分だけかもしれない。でも

それはもっともっと、争えるような、競えるような、互いに、互いを高めあえる存在に。










「…………ライバル……」